これは私が小学4年生の時のお話です。
授業が終わって図書館でクラブ活動をしていた時、ふと私は御手洗に行きたくなって友達に告げて御手洗に行くことにしました。
私の学校は校舎が2つに分かれていて、北校舎と南校舎と名前がついていました。南校舎には、職員室、図書館、給食室、御手洗、教室があり、北校舎には、図工室、理科室、音楽室、御手洗、教室がありました。ただ一つ北校舎と南校舎が違うのは北校舎にしか洋式トイレがないということ。当時の私は、和式が苦手で洋式しか入らずにいました。クラブ活動は曜日で分かれているので、この日は北校舎には誰もいません。私は少し気味悪いなぁと思いつつも、ゆっくりと3階のトイレへと向かいました。
トイレにまつわる七不思議のお話といえば、トイレの花子さんが有名ですよね?
3階の女子トイレの扉を順番に3回ずつノックしていき、3番目の扉を3階ノックして呼びかけると現れるとか……私は怖い話が苦手でそれを思い出してしまい、急いで御手洗を済ませようと洋式がある3番目の女子トイレへと駆け込みました。
“”3階の、3番目のトイレだということを忘れて””
……私が個室に入り、洋式の蓋を開けた時。
とんでもないモノが目に映ったのです。
長く黒い髪がうようよと浮いていて、そう、女の人頭が入っていたのです。
「ヒッ」と思わず声をあげてしまい、どうしようかと戸惑っているとその頭がゆっくりとこちらを向くのです。そして目が合いそうになった時、私は急いで逃げ出しました。追いかけてこないで、お願いします、と一生懸命に図書館へと走りました。南館に渡る廊下を走り南館へ踏み込んだ後、振り向くとそこには何も無く、私はそっと息を吐いて先程の出来事を友達に話しました。
するとみんなは興味津々で、北校舎のトイレへと向かいました。私は恐る恐る友達について行き、中を確認してもらうとそこには何もないと言われ、そんなはずはないと私も確かめました。ですがそこには何もありませんでした。
私が見えたモノは何だったのか、私はわからずにいました。
この日のことを私が大人になった時、色々なモノが見える方に聞くとどうやら、見える人を驚かせようと遊んでいた霊だったそうです。ただ、目があっていたら引きずり込む可能性もあったから逃げて正解だと言われました。
私には霊感があるらしく、本来母親が継ぐはずだったものを私が受け継いでしまったらしいのです。
確かに今思えばおかしな出来事はいくつかありました。友達と怖い話をしていた時に急に金縛りにあって腕がどんどん変な方向に曲がっていくとか、次の日起きると遠くにあったはずの充電器の紐が首に巻きついていたり、とか。
……今は一時のトラウマで見えなくなっているそうですが、もしかしたら大人になるにつれて見えるようになるかもしれない、その言葉に私はずっと怯えています。
…どうか見える日が来ませんように。