数年前、私がまだ学生だった時の話です。
私は、とてもお世辞にも綺麗と呼ぶことは出来ないマンションに住んでいました。
一回部分が居酒屋さんで、二階部分からが住居になっているという造りで、私はこの時三階住み。
ある日学校での活動で帰宅が遅くなり、マンションの前に着いたのが午後9時過ぎだったかなと思います。
革靴なので、コツコツと音を立てながら三階まで階段を上がり、さぁ玄関を開けようと家の鍵を鍵穴に差した瞬間でした。
すぐ真後ろから、カツーン…高いヒールで廊下を踏んだような音がして、びっくりして振り返り、それが何なのか見えた瞬間、思わず体が強ばり動けなくりました。
私の真後ろにいたのは、首を異様なまでにうつむかせ、肩口までの髪がその顔を隠し、水色のスーツを着た女性が、私の背中ピッタリのところに立っていたのです。
変な人だとか思うより、【これはダメなやつだ】と瞬時に理解しました。
震えながらなんとか鍵を開けて、もう振り返ることなく玄関に転がるように飛び込み、すぐに鍵をかけ、チェーンをしてから覗き穴を見てみましたが、そこに女性の影も形もありませんでした。
他にも色々体験はありますが、強烈な内の一つを話させていただきました。
少しでもゾッとしていただけたら幸いです。