掴む手 投稿者:らぶ

20年ほど前に父が体験した話です。

当時父は群馬県にあるゴルフ場に勤めていました。
そのゴルフ場はそもそも建設過程で変なことがあったり、これから書くこと以外にもおかしな事があったりと少し曰く付きの場所だったそうです。
しかし、一番言われていたのが事務所から離れた建物内の更衣室の噂でした。
普通にコースを回るお客さんの更衣室として使われているところですが、見回りをする同僚達が皆口を揃えておかしな物音を聞いた、人影を見たと言っており、あそこには何かいると言われていたそうです。
父は幽霊を信じていないわけではないのですが、自分は見てないから信じないというちょっと天邪鬼な面があり、ならば俺が見回りに行こうと見回りを買ってでたそうです。

夜になり、その更衣室に見回りに行きました。
電気をつけ、中を見回りました。特に何もありませんでした。ただの噂かと電気を消して全身鏡の前を通ったときでした。突然動けなくなって、寒さを感じたのと同時に、後ろに気配を感じたそうです。
先ほどまで電気がついていた事もあって目は慣れておらず、鏡で見る事ができるのは自分と後ろの真っ暗な空間だけでした。
必死に体を動かそうとしているときに鏡を見ているのも怖いので目を離しました。そのときでした。

がしり

誰かの手に肩を掴まれました。おかしい、見回りは一人、事務所からも遠いから誰もいるはずがない。すぐに鏡を確認したそうです。自分の後ろには・・・

先ほどと変わらず、暗闇しかありませんでした。
でも肩には手がありました。

父は理解したと同時に大声を上げて事務所まで逃げ帰り、上司に金輪際あそこの見回りには行かないと言い切ったそうです。

この話には後日談があって、父はどうしても同じように幽霊を見た人たちに確認したいことがあったそうで、数人を集めました。
何も言わずに紙とペンを渡して言ったそうです。ここに、幽霊の特徴を書いてくれと。
皆が書いてつきあわせると・・・

髪の長い女、赤い服、身長は高め・・・

全部の要素が一致していたそうです。

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