これは私の小学校で25年前に実際に起こった事件です。
私の通っていた小学校には飼育小屋があり、そこではうさぎが飼われていました。
6年生の飼育委員たちが交代で面倒を見ており、私たち4年生には縁遠いものでしたが6年生になったら飼育委員になろう!と思っている子が多数いるような、花形の委員会でした。
うさぎの代わりといっては何ですが、私たちの教室ではハムスターを飼うことが許されていました。
クラスの子が「家で飼っているジャンガリアンハムスターが子どもを生んだから、クラスのみんなで飼いたい!」と言い出したことがきっかけでした。
クラスの全員で係を決めて、きちんと世話をすることという条件で担任からの許しを得て私たちはハムスターを飼育し始めました。
そうしてハムスターを飼い始めた月、朝通学したら飼育小屋周りにビニールシートが貼られ先生たちがバリケードを組んで生徒を近付かせないようにしている光景が目に入りました。
「何があったんですか?」と訪ねても「早く教室に行きなさい!」と言われるばかりで何も教えてくれません。
生徒たちはみんなで押しかけ、そのうち1人が先生たちのバリケードを破ってビニールシートをめくりました。
そこには、うさぎの惨殺死体がありました。
カッターのようなもので切られたうさぎが目に飛び込んできて、咄嗟に顔を背けました。
(あぁ、殺されちゃったんだ…)
子どもながらに自然死ではないことは理解できました。
飼育小屋は学校の敷地内にあるものの、誰でも何時でも行ける場所にあったため誰でも殺そうと思えば殺せる状態でした。
悲しい気持ちで教室へ向かい、ハムスターたちに餌をやりました。
(この子たちは死なないといいな…)とぼんやりと思いながら、小さな頭を撫でたことを覚えています。
その翌日、願いもむなしく今度は教室のハムスターが行方不明になりました。
朝、飼育係の子が餌をやるために教室へ来たら「ハムスターがいない」と泣いているのです。
朝礼の時間を使ってみんなでハムスター探しが始まりました。
みんなの願いも虚しく、ハムスターは男子トイレの和式便器の中で息絶えているのが見つかりました。
男子トイレの中だったことと、先生が教室に戻っているよう言ったため生徒たちが死体を目にすることはありませんでしたが先生曰く「溺死ではないか」ということでした。
教室から何百メートルもある男子トイレにハムスターが自力で向かうことは考えにくいため、生徒たちは不審者が侵入したんじゃないか?と噂していました。
そこから私の小学校では動物を飼わなくなってしまいました。
あれは、不審者の仕業だったのでしょうか。
犯人は未だに見つかっていません。