叔父さん 投稿者:MOCOTTOY

これは私がまだ中学生の頃に体験した本当の話です。

当時、はやり風邪を患ってしまい、熱は下がり体力も回復してきていたのですが、大事を取りその日はゆっくりと過ごすように両親から言われ学校を休むことになりました。
当然家族は仕事や学校に行っており家には私一人、そんな時間を淋しくもあり有意義にも感じながら過ごすことになりました。
12時になり、母が用意してくれていたお昼ご飯を食べ風邪薬を飲んで少し横になり漫画などを読んでいました。

漫画を読み終えやる事がなくなって少しぼ~っと天井を眺めていました。
壁にかかった時計を見ると13時40分…15時過ぎには母が帰ってくるかな?などと考えていると「ピキッ!」っと耳元で何かが折れるような弾けるような音が鳴ったかと思うと体が全く動かなくなってしまいました。
ただ目だけは動くようで視界に入る範囲は見渡すことができました。
「いったい何が起こったのだろう?」と不安になっていると「ズズ…ズズズ…」っと何かを引きずるような音が足元のほうから聞こえてきたのです。

足元の布団が少しふわっとあいたような感覚とともに私の足を何かが触っているような感覚がありました。
足首…ふくらはぎ…膝…腰…その感覚はゆっくりと私の胸元のほうまで上がってきました。
怖いという感覚もありましたが私は目線を胸元に向けてみました。
そこには坊主頭の血の気が全くない顔の男性が私をじっと見つめていました。
「家のカギはかかっているしもちろん誰も入れる状態じゃない…それよりも誰?見たことのない人!」など少しパニックになりながら、助けを呼びたくても声も出せない状態です。
その男性と目を合わせたままどのくらいかの時間がたったかわからないでいると、男性がすごく悲しそうな顔をして涙を流しスッ…と消えていきました。
それと同時に私の体も動くようになりすぐにベッドから出てリビングへ向かうとちょうど母が帰ってきました。
私を心配して仕事を早めに切り上げてきてくれたそうでした。
私は母に一部始終の出来事を話しましたが信じてもらえず、やはり玄関にはカギはかかっていて母が帰ってきたときも誰もいなかったとのことでした。

それから数日たって母に話を聞いていた祖父が1枚の写真を私に見せてくれました。
そこにはあの坊主頭の男性が映っていて驚きました。
その男性は、父の弟にあたる方で25歳の時に亡くなっているそうです。
父の弟さんは大工修行をしていたらしくその時事故にあい半身不随になってしまったそうです。
当時、結婚を約束していた女性がいたらしいのですが事故で体が悪くなってしまった事と時代のせいもあり、親同士が破局させたそうで…それを苦にして自から命を絶ってしまったそうです。
あの時、叔父さんが消える前に見せた悲しそうな顔はつらかったことや悲しかったことを私に伝えたかったのでしょうか?

あの日以来叔父さんが私の前に現れることはありませんが、叔父さんの悲しそうな顔は今でも覚えています。
叔父さんが少しでも安らかに眠れるように今でもお墓参りを欠かさずに行っています。

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